平成24年も残すところあと2か月になった10月下旬。

 風土記の丘では会津民家の葺き替え作業が始まろうとしています。このページではこの会津民家の葺き替え作業の様子をお伝えしていきます。

10月28日

 風土記の丘ではいよいよ本年度の最大規模の屋根の葺き替えが始まります。今回葺き替えるのは『会津民家』。風土記の丘の中でも最大級の建物です。

足場の組み立てが終わり,雨除け用のシートの取り付けが行われました。

       

          ▲ 会津民家の位置                ▲足場とシートの準備完了

 11月1日から実際の作業が始まります。お楽しみに。  

    

11月1日                         

 いよいよ本格的な葺き替え作業が始まりました。

 今回は軒先に『水切り茅』をつける作業からはじまります。水切り茅とは,軒先の一番切っ先になる部分で,実際に雨が降ったときはここで雨粒(流れてきた水)が屋根から離れる部分です。ゆえにこの部分には雨の侵入を食い止める仕事が求められますので,他の部分より茅の密度が高められています。

 あらかじめ屋根のサイズに合わせて数百束の水切り茅を作り置きしておきます。今回の工事では400束の水切り茅が用意されました。

屋根に登る前から作業は始まっているとも言えますね。

    

11月2日

 水切り茅の取り付けが終わると,いよいよ『平葺き』の過程に入ります。茅を並べて竹で押さえて縄で締めます。長さの異なる茅束を4層重ねてこれを1鉾(ヒトホコ)と呼びます。1鉾終えると『あるき』と呼ばれる足場になる丸太をつけて,1段上に上がります。

4層重ねる茅は1層目と3層目に今現在屋根に乗っている古い茅を使うのが一般的です。こうすることによって新しい茅の使用量が抑えられるので,コスト的に有利になる上に,処分するゴミの量も軽減できます。まさに先人の知恵。今風にいうならエコですね。

 

 

 

 右の写真は既にアルキが2段組まれていて,3鉾目の4層目の押し茅を葺いているところです。 上の図のとおりこの後『おしぼこ(篠など。おしぼくともいう)』を乗せ,茅を下段とサンドイッチにしていきます。

 これを繰り返して固く締まった茅の層を作り上げていきます。今回の会津民家は屋根の頂上まで12鉾~15鉾ぐらいまで繰り返します。

    

 

 

11月4日

平葺きが始まって3日目です。今日の写真はアルキ8段目からの撮影です。写真で見るとあまり感じませんが,現場ではかなり高さを感じます。高所恐怖症をおして撮影に挑んだ職員は,写真を撮ったら急いで下りてきましたw。 

 写真に写っているのは,この春茅葺職人の門を叩いた新人の岡野君です。まだ数えるほどしか現場に出ていませんので,毎日が勉強修行の日々ですが,一生懸命取り組んでいますのできっと一人前の技術者になってくれると思います。     

 その岡野君の手前に道具が写っていますが,今日はこの道具のご紹介を致します。この動画は『がぎ棒』と呼ばれていて,並べた茅を屋根のこう配に沿ってそろえる道具です。

裏面はこんな感じで,格子状に溝が掘ってあり,材質は欅の頭に竹竿が比較的多いです。一人一人が自分の手に合わせて作りこんでなじませていくものなので,他人のガギを使うと調子が狂うとかいう人もいます。筑波流職人が使う道具の中では,一二を争う頻度で使われる道具ですので,みなさん大事に管理なさっています。

                             

 

11月7日

 施設休園日や天候のために2日程作業はお休みしておりました。本日は天候が回復するとの予報を受けて作業が開始されました。今日の作業は『ぐしほどき』です。

 『ぐし』(屋根の頂上)の根元まで茅を葺くために古いぐしをいったん壊し,新たに葺いた茅をまとめて新しいぐしの中に収めます。

 具体的には,ぐしまで達した平葺きの最後に『ふきどめ』と呼ばれる竹を縛ります,次にこのふきどめにぐしの基礎となる『したまる』・『うわまる』部分を縛り付けます。その上に『みの茅』・『杉皮』と重ねていきます。

     

11月9日

 本日の作業は前日に引き続きぐしほどきですが,今日は作業とは別に嬉しいニュースが届きました。

 常陸風土記の丘の茅葺講師である広山美佐雄氏が,厚生労働大臣より卓越した技術を持つものとして『卓越技能者(現代の名工)』に認定され,前日の8日東京新宿にて表彰されました。

                 厚生労働省 卓越した技術者表彰のページはこちら

 表彰の根拠となる技能功績の概要においては『広山氏は現役で活躍する筑波流茅葺き職人のなかでも,技の早さと正確さ,屋根ごとに対処する応用力,完成した屋根の堅牢さと美しさなどの点で,特に優れた技能を持つ第一人者である。現在も屋根上の第一線に立ち,同時に後継者も育成しており,技術の継承保存にも尽力する指導的立場の職人といえる。』とその功績を称えています。

 広山講師は24歳の時に屋根に上がり始め,現在御年80歳。そのキャリアは50年以上に達します。願わくばこの半世紀を費やして培われた技術と心を,若い世代が引き継いでいってほしいものです。

    

    

11月10日

 いよいよ平葺きが終わります。『ぐし』の下地になる『ふきどめ』の竹が入りました。架かったアルキは14段。作業日数は7日という筑波流ならではの素早い仕事でした。

 本来ならばこの上に『したまる』 『うえまる』とぐしが形作られていきますが,今回の会津民家ではここでいったんぐし組を止めて,『けむりだし』の葺きに入ります。右の写真中央上に見えるのが『けむりだし』です。読んで字のごとく,囲炉裏の煙を排出するための,換気用窓です。ここはそれほど痛んでいないのですが,この機会に葺き替えしておくことにしました。後にここだけ補修するのは大変になってしまうからです。

 

11月14日

 前日より『けむりだし』の葺き替え作業に取りかかっています。けむりだしの周りに足場を確保して,ぐしから解体していきます。

 この後の作業もこれまでの作業と同じで,『水切り茅』を取り付けた後『平葺き』を施します。屋根と比べるとサイズが小さい為簡単に思えますが,小さい分だけ修正も効きません。サイズの大小にかかわらず,神経を使う作業に変わりはありません。

 

 

    

11月16日

 今日の写真はぐしに乗せる『ぐし簀(たけすとも言います)』を編んでいるところのものです。1本の真竹を6~8枚に割り,それを並べて縄で編み込んでいきます。これをぐしの上に乗せてぐしの外殻とします。この作業のために職人さんは竹割斧を常備しています。

 ちなみに『木元竹裏(きもとたけうら)』という言葉を御存じでしょうか?これは木や竹を割るときにどちらから刃を入れるかを端的に表した言葉です。意味は木を割るときは元(つまり根っこに近い方)から刃を入れて,竹はその逆に裏(元に対しての裏 すなわち先端に近い方)から刃を入れると素直に処理できるという意味です。これを知らずに作業をしていると,何本竹を無駄にするかわかりません。

 夏に流しそうめんでもやろうかと考えている人は是非覚えておいてください。

 

11月18日

 前日は天候不順だったため作業はお休みでした。天候の回復を待って,17日に作った『ぐし簾』の取り付けが行われました。これでぐしが完成しました。

 いよいよこの日の午後から,『刈りこみ』が始まりました。まずは煙だしの刈り込みがされました。

 

 

    

 

 

     11月20日 

 間に1日休園日を挟みましたが,今日は刈りこみ2日目です。HP担当としましては,刈りこみの進捗状況をじっくり写真でお伝えしたいと思っておりましたが........

                 

 刈りこみ前

約半日後

                               ↓

                 

                           

残り3分の1....速過ぎるんですけど.... (ToT)/

広山一門のスピードを甘く見ておりました...

写真もっと撮りたかった。

あと1日で終わりそうです。

   

11月22日

 ついに刈り込みが終了致しました。ぐし元から刈り込み始めて,軒先まで3日間(実質作業は2日)の刈り込みでした。本来ならもっと詳細に写真でレポートしたり,使っている鋏(ハサミ:大小2本を使い分ける)などのご紹介をしたかったのですが...。

 それらのご紹介はまた別の機会にとっておきたいと思います。

 明日23日には足場を撤去して全体を清掃し,25日から一般公開再開の運びとなりました。ご興味のある方は是非葺きあがったばかりの美しい茅葺き屋根をご覧になってください。

 

 

 

 作業データ

 常陸風土記の丘会津民家

  作業日数:14日(実働)

  使用茅量:1898把

  おしぼこ(篠竹):200本            (約3m)

  針金(銅線):4㎏

  荒縄(2分):26玉

  棕櫚縄:1玉        

 

 

 

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